うつ病はどのようなメカニズムで発症するのか?進化の過程に根源あり

 

うつ病患者は、世界に3億5000万人以上、
日本でも100万人以上いる、と言われています。

体のだるさに加えて、気分の落ち込み、無気力、
眠れない、何をするにもおっくうになる、などの
心の症状が現れるのがうつ病という病気です。

 

うつ病の原因となる要因は、
仕事や生活、病気、お金に関するストレスなど、人それぞれです。

しかし、うつ病の根源とその発症メカニズムについては、
近年分かってきたことも多いようです。
そのキーワードは、人類の進化の過程です。

うつ病という大敵と戦うには、
まず、その根源とその発症メカニズムを知る必要があります。

 

魚もうつ病のような状態になる

人類の遠い遠い先祖は魚です。(魚類→は虫類→ほ乳類)
魚は進化の過程で、体を集中制御するための脳という器官を手に入れました。

この脳には、扁桃体という天敵から身を守るための部位があります。

魚は、天敵が近づくと危険を察知し、扁桃体を強く活動させます。
これによって、ストレスホルモンを分泌し、
運動能力を高めることで危険を回避します。

 

「魚もうつ病のような状態になる」という研究結果があります。

水槽に、小魚とその天敵の魚を一緒に入れて、一定期間飼育します。
そうすると、はじめは俊敏に逃げ回っていた小魚が、
ある時から動きが遅くなり、ついには逃げることもしなくなる、というのです。
魚がいわゆる「うつ状態」になるのです。

これは、長期間危険な状態にさらされることで、
危機を察知する扁桃体が暴走するようになり、
ストレスホルモンの分泌が止まらなくなって、
脳の神経細胞が破壊されるため、と考えられています。

 

人間においても、うつ病患者は、
扁桃体が強く活動することで、ストレスホルモン数値が高くなっている
ことが確認されています。

また、脳の神経細胞が破壊されることで、
うつ病患者の脳は、通常の人よりも委縮してしまっている
ということも確認されています。

 

進化の過程で抱え込んでしまった根源

人類は、進化の過程で実際に天敵が目の前に存在していなくても、
扁桃体が反応するようになってしまいました。

それは恐怖の体験などの記憶に対してです。
私たちの記憶の多くは、時間の経過とともに忘れられていきます。
しかし、衝撃的な出来事は決して忘れることはありません。

 

私たちの遠い先祖は、いつも天敵に襲われる危険の中にいました。

そこで、危険を回避して生き延びられるように、
扁桃体が激しく活動した出来事については海馬が反応し、
強く記憶されるように進化したのです。

私たちが、過去に犯した失敗を忘れることができず、
これを思い出しては恐怖や不安を感じ、
気が落ち込み、悲しみが引き起こされてしまうのはこのためです。

 

さらに、人類は進化の過程で、うつ病の根源をもう一つ抱え込みました。

それは言語です。
人類は声を使って、多くの情報を伝え合うことが可能となります。

しかし、これによって、自分の過去の恐怖記憶だけでなく、
他の人から聞いた恐怖の言葉に対しても、扁桃体が反応するになってしまいました。

つまり、扁桃体を反応させる恐怖の記憶が、
言葉によっても作られ、増幅されてしまうようになったのです。

人類は生き延びるために進化してきましたが、
その過程で、うつ病の根源を次々と抱え込みながら、
進化の歩みを進めてきてしまったのです。

 

うつ病と無縁の人々がいる

現代においても、狩猟取集の暮らしている人々が、
少数ではありますが、今も世界には存在しています。

これらの人々に対して、
将来への希望、仲間との関係、暮らしに対する満足度など、
うつ状態の度合いを測るテストを実施したところ、
うつ病と診断された人は、一人もいませんでした。
人々は日々の生活にとても満足し、皆自分に自信を持っていました。

 

この理由としては、
確保した食料はすべてはみんなで分け合うなど、極めて平等な暮らし
を営んでいることが挙げられると言われます。

ある実験によると、
自分が相手よりお金を多く貰う、または、自分の貰うお金が相手より少ない、
といった不平等な場合において、扁桃体が反応するのに対し、
自分と相手の分け前が同じくらい(平等)の場合、扁桃体は反応しない、
という結果になったそうです。

つまり、「平等」は人々を安心させ、人々に自信を与えるのです。

 

もう一つの理由としては
日中は太陽の光を十分浴びて働き、夜はぐっすり眠るという、人間本来の暮らし
を営んでいることが挙げられると言われます。

体を動かすことや、太陽の光を十分浴びること、
規則正しい生活をすることが、うつ病の改善に効果的なことは、
最近の研究でも確認されています。

狩猟取集時代の人類は、
うつ病の根源となる扁桃体を暴走させない仕組みを
こうして、すでに開発していたのです。

 

しかし、自然の中からその日食べるものを収穫して、
みんなで平等に分け合って食べる、という狩猟取集社会から、
文明社会へ移行していくことになります。

文明社会になると、穀物が生産されるようになり、
やがて、余った穀物を備蓄できるようになります。

備蓄によって、生活に余裕に生まれるようになり、
次第に、「力の格差」が生まれ、「階級の格差」「貧富の格差」が生まれていきます。
そして、この流れは現在までずっと続いています。

 

私たちの生きるこの社会は、
物質的には豊かではありますが、格差は拡大し、その拡大は年々加速していいます。
また、室内で太陽の陽を浴びることもなく、ストレスを感じながら朝から晩まで働いています。

私たちは、「平等な暮らし」からも「人間本来の暮らし」からも、
遠ざかった社会に生きているのです。

 

まとめ

学んだこと

【うつ病のメカニズム】
・長期間過剰なストレスを受けることにより、扁桃体が暴走するようになり、
 ストレスホルモン分泌が止まらなくなって、脳神経細胞が破壊される。

【うつ病の根源】
・人類は進化の過程で、実際に直面した危険だけではなく、
 「過去の記憶」や「他人の言葉」にも、扁桃体が反応するようになってしまった。

「平等な暮らし」「人間本来の暮らし」といううつ病対策を
 人類は発明していたが、現在まで続く文明社会によって崩壊してしまった。

うつ病の発症メカニズムやその根源について、
人類の進化というキーワードを通じて、学ぶことができました。

これらの学びを踏まえて、今後どうしていくべきか、
きちんと対策を考えていきたいと思います。